日本の公開データ研究マップ(JapanStatsMAPs)を公開しました

目次
  1. どんなサイトか
  2. 紹介動画
  3. 収載している論文
  4. 6つの画面でできること
  5. 使い方の例
  6. 論文の集め方と分類の方法
  7. 使うときの注意
  8. GitHubで公開しているもの

日本の公的統計を使った研究論文を探せるサイト「日本の公開データ研究マップ(JapanStatsMAPs)」を公開しました。データとコードはGitHubにあります。

2026年11月7日時点で1,269本の論文を収載し、テーマ、データ源、解析データの年、研究の型から探せます。この記事ではサイトの中身と使い方、分類の方法と注意点を紹介します。

どんなサイトか

公的統計にはNDBオープンデータや人口動態統計のように誰でもダウンロードできる公表集計と、国民生活基礎調査のように申請して使う個票があります。このサイトはこれらを主解析に使った日本の研究を集めた知見マップです。

登録は要りません。データ源と研究テーマの組み合わせから、どの統計がどの年について解析されてきたかや、研究の少ない組み合わせの候補を調べられます。

紹介動画

操作の流れを、ナレーション付きの約50秒の動画にしました。

YouTubeで動画を見る

ナレーションは音声合成です。声は ElevenLabs のボイスライブラリの「Ayaka」、音声合成のモデルは Eleven v4 を使いました。

収載している論文

主解析のデータが日本のもので、次のどちらかに当たる論文を収載しています。

区分内容本数
A 公開集計データ誰でもダウンロードできる公表集計(NDBオープンデータ、e-Statの統計表、人口動態統計の公表表、警察庁の自殺統計など)812
B 政府統計の個票二次利用申請で得た政府統計調査の個票(国民生活基礎調査、国民健康・栄養調査、患者調査、人口動態調査の死亡票など)445
A+B 併用AとBを組み合わせたもの12

本数は2026年11月7日時点のものです。NDB特別抽出、DPC、商用レセプト、病院の記録、独自のコホートや調査は対象外です。公表値を人口の分母や年齢調整の基準としてだけ使い、主解析が別のデータである論文も除きました。

検索の対象にしたデータ源は27種類です。人口動態統計、国民生活基礎調査、国民健康・栄養調査、NDBオープンデータ、医療施設調査・医師統計、感染症発生動向調査、国勢調査、労働力調査などが含まれます。

6つの画面でできること

画面できること
概念マップテーマを円で、論文で確認した「曝露→アウトカム」の組み合わせを矢印で見る。円の大きさと矢印の太さは論文数を表す
関連の行列曝露とアウトカムの組み合わせごとの論文数を表で見て、研究の少ない組み合わせの候補を探す
データ源と年統計ごとに、どの年のデータが解析されてきたかを色の濃淡で見る
論文一覧著者名、題名、誌名、DOIで検索し、区分、データ源、データの年で絞り込む。結果はCSVで保存できる
論文のつながり起点の論文と、参考文献やテーマが重なる論文を近くに並べて見る
統計・データ収集と判定の件数、各項目の内訳、方法を確かめる

テーマは65あり、14のグループにまとめて表示しています。

使い方の例

サイトの「使い方」にある、自殺の地域差の研究を始めるときの例です。

  1. 概念マップで「自殺・自傷」の円を押し、どのデータ源が使われてきたかを見る。
  2. 関連の行列で「自殺・自傷」の列を見て、曝露として研究の少ないテーマを探す。
  3. 論文一覧で「suicide」と入れ、データ源を「人口動態統計」に絞って原著を読む。
  4. 参考になった論文の「つながりを見る」で、関連する論文をたどる。

論文の集め方と分類の方法

論文は Europe PMC で「データ源の英語名 AND (Japan OR Japanese)」を本文まで含めて検索して集めました。データ源の名称は方法欄にだけ書かれることが多く、題名と抄録だけの検索では取りこぼすためです。

分類には TypeSafe の判定モデル Jev を使いました。まず題名と抄録で区分を判定し、候補について詳しく判定します。詳しい判定ではオープンアクセスの論文には本文の方法と結果を、それ以外には題名と抄録を渡しています。2026年11月7日時点の集計は収集8,460本、候補1,970本、収載1,269本です。主解析のデータが日本のものではないと判定した71本は除きました。

更新履歴のとおり、前日までに Europe PMC に登録された論文を毎日検索し、該当するものを追加しています。論文どうしの近さは OpenAlex から取得した参考文献と、テーマの重なりをもとに計算しています。

使うときの注意

  • 分類は機械判定で、人手の確認を経ていません。誤りを含むことがあるので、引用や判断の前に原著で確かめてください。
  • 矢印は解析された組み合わせを示すもので、因果関係を意味しません。
  • 空欄やテーマの小ささは、その組み合わせの研究が存在しないことを意味しません。
  • 収集は英語名での検索によるため、Europe PMC に収載されていない和文誌の論文は含まれません。
  • 題名と抄録だけで判定した論文では、方法欄にしか書かれていないデータ源や解析データの年を取りこぼすことがあります。

GitHubで公開しているもの

リポジトリではサイト本体、収載データ、判定の結果、判定項目の定義、作り直すためのスクリプトを公開しています。コードとデータ(判定結果、スキーマ、画面)のライセンスは CC BY 4.0 です。論文の題名や著者などの書誌は各出版社と著者に帰属します。本文と Jev の生応答は容量と著作権のためリポジトリに含めていません。

本研究は JSPS 科研費 JP23K16359(若手研究「全自治体予測モデルによるCOVID-19流行下の自殺要因の分析」)の研究成果の一部です。